パチンコ版星野リゾート方式でホールの立て直し

 

旅館、ホテル業で抜群のリピート率を誇る星野リゾートは、同じサービス業として参考になる項目がいくつかある。で、星野社長が目指す旅館とは名物女将のいる存在感のある旅館である。女将を育てるには時間もかかるので、これを組織やチームで継続してできるようにした。

 

気づきのできる人を育てるために自由度を与えると共に、実行するツールを与えた。ツールとはコンピュータによる過去の顧客情報である。気づきのできる従業員は、当然ながら客から誉められる。誉められることによって快感物質が脳から分泌して、モチベーションが上がる。

 

こうして好循環のスパイラルが生まれる。

 

かつての星野リゾートは定着率も悪かった。そのための改革が楽しい職場=自由度のある職場にすることであり、それがひいては、毎日客から誉めてもらう職場環境だった。つまり、顧客満足の前に社員満足を先にした。社員が満足しなければ、顧客満足をさせることはできない、という考え方だ。

 

社員満足を充実させたところで、リピーターを掴む企業秘密が、顧客アンケートだった。

 

非常に満足した、満足した~不満、非常に不満までの7段階評価で5割の客が「非常に満足」を目標としている。

 

同社のアンケート分析チームが、低いポイントの部分をすぐに改善できるように動く。客の声をしっかり把握して答えていく。ただ、全員が100%満足することはありえないので、聞くべき不満と、切り捨てる不満の線引きはきっちりする。

 

しかし、自分たちが目指す方向性に合う客に対しては120%の満足を与える。

 

パチンコ業界でもアンケートを取っているホールは少なくない。顧客満足の前に社員満足の実現を目指すホールもある。

 

で、パチンコ客が求めるものは、よく回る台。

 

現金機時代は6個返しに加え、確率も甘く、スタートもよく回った。機械代も安かったので、新台導入から釘を締めることもなかった。

 

これが、等価交換が主流になると様相はガラリと変わってきた。等価交換では当然スタートは回せなくなる。客離れが進めばホール経営も苦しくなる。

 

ホールは二進も三進も行かなくなったところで、最後の頼みの綱としてコンサルにすがりついてくる。そういう状況だから、ホールにおカネはない。

 

コンサルに課せられたミッションはおカネを使わずに立て直すことだった。おカネを使わないということは、新台も導入しなければ、イベントもしない、ということ。

 

地域で稼働はダントツのビリホールだったが、おカネを使わずに立て直すコンサルは、稼働を徐々に上げていった。

 

3カ月で稼働は3倍に上がった。

 

と、いっても元々の稼働が低かったので、この3倍というのは数字のマジックのようなもの。

では、どうやってお金をかけずに稼働を上げるのか?

 

ズバリ人間力。

 

「スタッフのファンを作る、というやり方です。ウチは、島礼は一々する必要はない、という方針です。ただ、スタッフには気の効いた一言をお客様へかけることを教育しています。負けてイライラしているお客様がいたらジュースぐらいおごってもいい、という考え方です。このスタッフに会いたいから、ウチの店に来たくなるイメージです」

 

おカネがないのならスタッフによる集客作戦である。ここが星野リゾートと同じ考え方だ。

 

一番厳しく指導しているのが、笑顔だ。いくら笑顔を出すようにいっても、現場で笑顔が出ないアルバイトには退職勧告が飛ぶ。

 

出玉や新台での競争を避け、「快適な遊技空間を」を目指して3カ月。アンケート結果からもスタッフが以前に比べて明るく店の雰囲気が変わった、との声が寄せられている。

 

新台を買う予算はないので、「新し目の台、入りました」との告知は泣かせる。

 

店長が毎朝発信する会員メールは、イベント告知とは様相が違う。

 

店長の身近な出来事や時にはプライベートなことまで書いて送っているのだが、一種の店長ブログのようなもの。

 

「最近、メールを読むのが楽しみになりました。毎日ネタがよくありますね。これからも頑張ってくださいね」と固定ファンも少しずつ増えてきている。

 

もちろん、回ることが第一条件でその分、交換率は悪い。それでも、パチンコを本当に楽しみたい客層には徐々に受け入れられる。