おカネがあってもパチンコを止める理由

 

この話はコロナ前であることをあらかじめ断っておく。

 

40年来のパチンコファンで、70代のおばあちゃんがこのほどパチンコから足を洗った。この15年ほどは、2日に1回のペースでパチンコ店に通っていた。

 

行く店は決まっていた。地域でも優良店と誰もが認める地域一番店。おばあちゃんのご主人は5年ほど前に他界したが、生前は夫婦揃ってパチンコ店へ通った。特に外食した後での、食後のパチンコが夫婦の楽しみでもあった。

 

おばあちゃんは、4号機全盛の時は、吉宗や番長が好きだった。3カ月で100万円勝ったこともあった。この時の100万円に小遣いから5万円を足して、ヒロ・ヤマガタのリトグラフを購入した。

 

おばあちゃんは、賃貸用マンション2部屋と駐車場を所有していて、不動産の家賃収入だけで20万円あった。年金もあるのでパチンコ代には不自由しなかった。

 

この10年の戦績は驚くことに、大きく負けた月はなかった、という。かといっておばあちゃんは釘が読めるわけではなかった。データを見て、後はすべて勘で台を選んだ。それなのに負けなかった。

 

おばあちゃんがパチンコ店へ足を運ばなくなって2カ月が経った。理由は、立て続けに負けが続いたからだ。地域一番店といわれるマイホールの平日の昼間の稼働が著しく落ちていた。その影響からか、ホールは釘を閉め始めた。

 

台選びのポイントを1000円スタートにしているおばあちゃんによると、回らない機械が増えたそうだ。1日に2万円、3万円、と負けが続いた。おばあちゃんと顔なじみの常連さんの姿が一人消え、二人消えて行った。話し相手の常連さんの姿がくしの歯が抜けるようにいなくなった。

 

そして、最後に残ったのは自分一人であることに気づいたときに、パチンコ熱が一気に冷めた。おばあちゃんはパチンコだけでなく、常連さんといっしょに過ごすことが好きだった。

 

おばあちゃんがパチンコを止める気になったのは、負けが込んだからだけではない。友達がいなくなったからだ。おカネがあってもパチンコを止めたくなるお年寄りがいることをパチンコ業界は気づかなければいけない。

 

加えて、危険信号を感じるのは、おばあちゃんが40年来ひいきにしていた地域一番店超優良ホールが、昼間の稼働を落とし、釘を閉め始めたことだ。粗利確保を焦るばかりに、懐が寂しくなっている客に「来るな」と追い討ちをかけているようなものである。

 

 

釘を閉めれば、閉めた分、客は飛び戻って来なくなるご時世である。パチンコ営業の集客方法は、いずれお客さんから回収しなければならない新台入れ替えではなく、回して、設定を入れることだ。